先日、当SOHOを所管する県からの依頼で草津SOHOの設置以来の卒業企業約120社に対して卒業後の動向追跡調査を行った。目的としてはSOHO設置による経済効果の把握である。草津SOHOも設置後20年余を経過し、卒業企業数も上述のとおりとなるのであるが、依頼のメールを受け取った側にしてみれば最近の世相柄、詐欺メールの類ではないか?などと疑われかねない。ましてや指定管理者も昨年から我々に代わっているので県の所管組織との連名で依頼を出すことになった。
その結果、明らかになったのは結構厳しい結果であった。というのも調査に対する回答率の低さと廃業や倒産した企業が結構多いことである。詳細な数字は控えるが、その理由のひとつにコロナ禍を経て企業の活動環境が厳しかったのもある。SOHO初期の卒業企業ともなれば現在までで20年近く経過しているわけで当時入居~卒業されていた経営者もそれなりの高齢を迎えていて、一線から引いたり、不幸にも倒産や廃業という苦渋の決断をした人もおられるかもしれない。もちろん、無理な経営や放漫経営が祟ってそれが原因となったケースもあるだろう。一方で社業が順調で県内はおろか本社を東京に移して全国的に事業展開されている企業もある。
廃業や倒産の比率の高さもさることながら、今回気になったのは調査を依頼した卒業企業の情報開示に対する閉鎖性である。もちろん、回答いただいた内容については他に転用することはない旨を事前に伝えている。それでも売上高などの数値を開示することについてはかなり閉鎖的であるし、回答そのものもいただけない状態である。(ちなみに利益額は調査項目に入っていなかった) 上場会社でもない限り、公開する必要もないのだが。 普段、SOHOの会議室の利用などで顔を合わせていても、このような依頼に対しての対応にはなかなかガードが堅い。進んで情報を開示しようという意識はあまりなく、殻を閉じた状態である。
過去にSOHOに入居していたから、会議室は使えるとか、そういうサービスは使ってもらってよいのだが、SOHOのOB・OG企業として、こんな企業に成長しましたよ、という心意気も見たいものである。SOHOがあったからこんなにも成長できたことを世にも示したいものである。OB・OG企業として、そのサービスを享受できるのは当たり前の話として、別にありがたいとは思わない。そんな風潮になってしまったのか? (ちなみに「当たり前」の反対語をご存知だろうか?「ありがたい」である。)
OB・OG企業の皆さんそれぞれ自分の会社を維持・発展していくだけで精一杯なのかもしれないが、SOHO卒業企業も一体となって今のSOHOを盛り上げてほしい。その雄姿を見せて、先駆者として起業者・創業者の励みになる姿を発信してほしい。そんな繋がりもあっても良いのではないか。